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AI検索対策はどこに効いて何を加速させるのか?

AI検索対策はどこに効いて何を加速させるのか?

ここ最近AIや検索に関する
勉強会や相談が増えている。
どこに行っても話題になるのは、
どうすれば検索に出るのか、
どうすればAIに拾われるのかという話だ。

もちろんその視点自体は間違っていない。
ただ聞いていて感じるのは、
議論の多くが露出の話で
止まっているということだ。

実際に旅館に泊まりに行く場面を想像すると、
検索に出てきたという理由だけでは足りない。
日程は合うのか。
移動は無理がないか。
静かに過ごせるか。
食事は自分たちに合っているか。

検索の先にはいくつもの判断と
心理的なハードルがある。

今後AI検索が主流になる可能性は
さらに高まっていくだろう。
すでに生成AIを意識していなくても検索結果にはAIの要約が表示され始めており、
比較や整理は気づかないうちに自動化されている。

ただここで一度立ち止まって考えておきたい。
AIに表示されたからといって、
予約されるわけではない。
この当たり前の事実が意外と忘れられがちだ。

───

露出から予約までの流れは、
すでに変わり始めている

これまでの購買行動は、
AIDMAやAISASといった枠組みで
整理されてきた。
認知して興味を持ち比較して行動する。

                 AIDMA消費者購買プロセス

                 AISAS消費者購買プロセス

                  AICAS消費者購買プロセス

AI検索時代では、
この流れそのものが少し変わってきている。

AIは
注意を引き
情報を整理し
比較を助ける

こうした工程を、
一気に肩代わりする存在になりつつある。

つまり
認知
理解
比較

ここまではかなりの部分をAIが担うことになる。

一方で
泊まると決める
時間を使う
お金を払う

この最終判断は今も変わらず人の領域だ。

AIが活躍するのは露出から検討まで。
人が担うのは納得と覚悟の部分。

この分業構造を理解しないまま、
検索に上がるかどうかだけに意識が向くと、
本質はずれていく。

───

AI対策が効いているのは安心と判断材料の領域

現時点で言えばAI検索対策は予約を直接生み出す装置ではない。
効いているのはこの宿は自分たちに合っていそうか失敗しなさそうかという安心感の形成だ。

アクセスの分かりやすさ。
食事の流れ。
温泉の使い方。
静かさの度合い。
滞在中の過ごし方。

こうした判断材料が整理されている宿ほど、
結果的にAIの要約にも載りやすく、
人の検討にも残りやすい。

逆に言えばAIに拾われることだけを意識して
作られた言葉は最終的な予約行動には
結びつきにくい。

───

よく言われるAI対策の正体

ここでよく聞くAI対策についても
少し整理しておきたい。

構造化データ。
FAQの充実。
ページごとのテーマの明確化。
主語と対象の整理。

これらは新しい魔法ではない。
やっていることは、
宿の情報を第三者に説明できる形に整える、
という一点に集約される。

この宿はどんな宿か。
誰向けなのか。
どういう条件で利用できるのか。
何ができて何ができないのか。

人に説明できない情報はAIにも理解されない。
構造化とは、
ロボット向けというより、
説明の順番を分かりやすく整える作業に近い。

───

最低限現場で意識しておきたいこと

高度なAI対策を考える前に、
まず確認しておきたいことがある。

トップページ含めた施設紹介とプラン説明で言っていることがズレていないか。
誰向けの宿なのかが、
どこを読んでも同じように伝わるか。
利用条件や制限が曖昧なままになっていないか。

これらが整っていない状態でAI対策だけを足しても効果は薄い。
いわゆる一貫性があるか?
AIは整理された情報を拾うのであって、
散らかった情報を解釈してくれるわけではない。

───

本質はAIにできない価値をどう伝えるか

これからAIはあらゆる分野で存在感を強めていく。
情報整理、比較、要約。
こうした作業はますますAIの得意領域になる。

だからこそ宿泊業にとって重要になるのは、
AIにできない部分をどう認知してもらうか、
という視点だ。

その宿で過ごす時間。
湯に浸かる間の空気。
食事の間合い。
人との距離感。

これらはデータでは再現できない。
体験としてしか理解されない価値だ。

AI対策という言葉だけが先行し、
宿のあり方や魅力づくりが後回しになると、
伝えるべき核が薄れてしまう。

───

AI検索対策は目的ではなく手段

改めて問い直したい。

AI検索対策は何のためにやるのか?

予約を直接増やすためではない。
安心して納得して選んでもらうためだ。

露出
検討
比較
予約

この流れの中でAIがどこを担い宿がどこを担うのかを整理する必要がある。

AIに任せるべきは整理。
宿が向き合うべきは体験。

この役割分担がはっきりすると
AI検索時代は脅威ではなく
宿の本質が浮き彫りになる時代に変わっていく。
飽和した状態からAIという切り口が広がったことで確実に宿の選ばれ方はさらに変わっていく。

佐藤弘明
佐藤弘明
常務取締役

旅館支援歴16年|集客・ブランド設計・運営改善まで現場密着伴走|旅館業界のリアルな現場から生まれる気づきや宿の未来を共につくるための視点を日々発信しています。

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