2026年旅のかたちは変わるという気配。

未来の兆しというのは、
突然大きく姿を現すわけではないと思う。
日常の中の小さな違和感や、
旅先でふと見かける行動の変化だったり、
明確に言葉にされる前の
なんとも言えない空気、雰囲気のようなものが
少しずつ積み重なって実態を持ち始める。
旅行という行動そのものは変わらない。
ただその内側にある動機と選び方が
これからさらに変わっていくのではないか。
そんな気配だ。
ここでは、自分の頭の整理も含めて
ここ最近感じていることの
いくつかの観点をまとめてみたい。
───
旅が役割から離れる行為として
ますます強く求められているということ。
そもそも旅にはそう言った効果が多分にある。
仕事の関係性や気軽が故に繋がりが近すぎるSNSから距離を置きたいや
自分の本音の部分に触れるような場所を選びたい
過度な刺激ではなく、
自分のペースを取り戻せる時間をつくりたい
そういう意味では昔から嗜好品としてあってもなくてもいいような旅が
娯楽以上の意味を持ち始めている。
それは贅沢の追求ではなく、
生活に必要な回復としての旅だ。
これは宿泊業にとっても大きな変化だと思う。
空間の豪華さや価格だけではなく、
その場所が持つペースや温度が問われていく。
設備の差ではなく、
体験の深さをどう届けるか。
ここが改めて重要になる。
───
旅が自己認識の手がかりになっているという点だ。
誰かと比べる旅行ではなく、
自分の心の動きを確かめるための旅。
大げさな観光ではなく、
小さな滞在の体験が選ばれる流れ。
これは観光の消費構造が変わるというよりも、
人の欲しいものが変わってきている
ということだと思う。
景色を見るより、
自分を少しだけ整えられる旅。
これを望む人が増えている。
───
また旅行の選び方が
情報よりも納得感に寄ってきているのも興味深い。
ランキング
口コミ
広告
こうした外側の評価よりも、
自分にとって心地よいかどうかの基準が
より強く働いている。
それは、
旅慣れた層が増えたこともある。
情報が多すぎる社会で、
自分で選ぶことの意味が
変わってきたからかもしれない。
宿泊施設としては、
万人に向けたメッセージよりも、
誰に届けばよいのかを
丁寧に研ぎ澄ませ設計する必要がある。
大きなターゲットではなく、
正しい相性。
その見極めが、
これからますます重要になっていく。
───
改めて思うのは、
未来とは派手に変わるものではなく、
ほんの少しも偏りとして現れるのだと思った。
旅という行為の中で起こる
選び方
感じ方
滞在の仕方
余韻
その一つひとつが、
これからの文化や価値観に影響していく。
旅が自己回復の場所になっていくのか。
旅がより個人的な体験として深まっていくのか。
旅が日常の延長線に戻っていくのか。
兆しは見えているが、
答えはまだ形を持っていない。
ただ、これだけは言える。
宿泊や観光の仕事は、
旅の理由を丁寧に受け止められる場所であるほど、
価値が際立っていくということだ。
変化は大きくなくていい。
選び方の角度が少しずつ動いている。
その微細な動きに気づける人や場所が、
これからの旅行文化をつくっていくのだと思う。

