民泊は本当に飽和したのか

データと現場から読み解く危機とこれから。
以前2025年を振り返った記事を書いたが
ボリュームが溢れるので別途一つのトレンドも
振り返っておきたい。
2025年の宿泊業界の振り返り記事はまた
お時間ある際にどうぞ

改めてだが2025年振り返るべきは民泊事業です。弊社にも異業種参入の事業者様からの
ご相談が過去を見ても非常に多かった年です。
0ベースからの構築なども含めて多くありました。それゆえに明らかに重さを抱えた一年だった。
民泊という手軽さと差別ポイントの難しさ
現実として登録件数は増えていることで
稼働が伸び悩むという状況。
Airbnbの検索画面に空室のまま残り続ける物件は明確に増え、都市部ですら値下げしても動かない宿が散見されていた。
肌感覚だけではなく、
実際に数字がそう語っている。
では民泊はどこまで来てしまったのか。
私はこう考えている。
飽和したのは数であって、
飽和していないのは意味だ。
⸻
①飽和を示す“数字”はすでに揃っている
2025年前半〜中盤にかけて複数の
データが発表され、
以下の傾向がはっきり出てきた。
● 全国の民泊件数は微増
民泊の許可件数は前年より増えていた。
ただし増えたのは稼働しない物件も含む数字だ。
● 稼働率は地域差が極端に広がる
Airbnb公開データでは
・福岡、札幌、沖縄→7〜9月で前年割れ
・大阪、京都→インバウンドの下支えで辛うじてプラス
という二極化が発生。
● 単価は下がった物件ほど苦しくなる
Airbnbの2025年Q2発表では、
値下げをした物件ほど稼働が上がらなかった
というデータも確認されている。
理由は値下げで狙う層自体が動いていないからだ。
● OTA系データでも共通傾向
Booking.comの地域別宿泊傾向によれば、
・短期旅行の減少
・近場移動の増加
・中価格帯の動きが鈍い
という傾向が表れている。
民泊が飽和していると感じるのは、
感覚ではなく数字が示している状況だ。
⸻
②飽和しているのは構造。
飽和していないのは価値。
一方で数字とは真逆の現象も起きている。
同じエリアでも、
圧倒的に稼働が伸びている民泊が確実に存在する。
それらは例外ではなく、
共通点がある。
● 用途が明確に定義されていること
例えば、
・ワーケーション向け
・大人数特化
・ペット同伴
・サウナ×デザイン
・長期滞在
こうした明確な役割がある民泊は、
どのエリアでも稼働が安定していた。
民泊は「宿泊カテゴリー」ではなく、
用途のジャンルで戦うマーケットであると
関わりの中で明確になった1つだ。
曖昧な宿ほど飽和側へ落ち、
役割が定まっている宿は選ばれる側へ進む。
民泊が飽和したのではなく、
価値が薄い民泊だけが飽和した。
数字を見るほどそう思う。
これは趣向性のビジネスであればあるほど
あえてという理由が無いものから選ばれなく
なっているという事実では無いだろうか。
⸻
③民泊の苦戦を生んだ背景
行動経済学と消費者行動の観点から
なぜ2025年の夏は特に動かなかったのか?
ここには心理と経済が深く関わっていた。
● 選択疲れによる決定の先送り
Airbnbの掲載物件数が増えるほど、
ユーザーは選べなくなる。
多数の選択肢は決めない理由を生む。
行動経済学では、この現象を
選択のパラドックス
と呼ぶ。
特に似た物件が多いエリアほど、
ユーザーは後回しにする。
選ぶ理由が広さや価格程度であれば残念ながら
飽和側への仲間入りになることは仕方がない。
● 暑すぎる夏は行動そのものを減らす(行動経済×気象データ)
Agoopなどの人流データでは、
気温3〜4度の上昇で人出が1割減る
という傾向が見られる。
2025年の九州は記録的猛暑が続き、
特に昼の外出が著しく減った。
観光地へ行かないのではなく、
動かない季節だったということだ。
テレビや新聞など含め暑さに気をつけようと
無駄な外出は避けようと
言えば言うほど出かけにくい状況が磐石に
作られたように思う。
自己判断にそっと忍び寄る他者意識が動かない
と言うことに説得力を生んでいる。
● 可処分所得の低下
内閣府・日銀統計では、
2025年春〜夏の可処分所得が
実質で前年より減少。
旅行需要は好きだから行くだけでは決まらず、
行ける状況かに強く左右される。
行っても行かなくてもという嗜好品のような
立ち位置だからだ。
低所得層が旅行から撤退し、
中価格帯の宿がもっとも苦しい領域に。
● インバウンドの地域差が拡大
訪日客全体は増えているが、
九州は香港・中国本土の戻りが弱く、
結果として前年割れした月が多い。
全国で増えている=すべての地域が伸びている
ではない。
民泊も旅館も、
この地域差ショックに影響を受けた。
⸻
④それでも民泊は伸びる

それでも伸びる市場
誤解しないでほしいのは
それでも伸び代を多分に持った事業であることは
間違いがない。
必要なのは再定義である。
2026年に向けて必要なのは、
物件を増やすことではなく、
この民泊は何のために存在するのか?
を再定義すること。
用途がない宿は埋もれ、
用途がある宿は選ばれる。
民泊は供給数の勝負ではなく、
意味のある宿かどうかの勝負になる。
意味がある宿は飽和とは無縁だ。
むしろなんの変哲もない宿が増えれば
増えるほどより際立ちを見せる。
結局のところ、
民泊が飽和したのではない。
理由のない宿だけが飽和したのだ。
これから民泊の計画を立てている事業者様も
多いことと思います。
理想と現実はかなり乖離してきています。
しっかりと市場や自社の武器を見定めて
勝負を行うことをお勧めまします。
#民泊 #宿泊業 #観光業 #宿経営 #インバウンド #国内旅行 #旅行動向 #宿泊需要 #経営改善 #収益改善 #ホスピタリティ #地域観光 #Airbnb #VacationRental #Hospitality #TourismTrends
#Hi -STANDARD #ハイスタ #パンクロック #音楽のある生活 #息抜きnote

