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「誰に向けているか」が曖昧なまま、走っていないか

「誰に向けているか」が曖昧なまま、走っていないか

集客戦略を見直すための、ペルソナ×ターゲット×ロングテールの考え方

売上を伸ばしたい。
予約をもっと増やしたい。
その気持ちは、どの旅館でも変わらないところだと思う。

だからこそ、さまざまな施策を試している。
OTAのセールに参加し、
クーポンを発行し、
タイムセールに乗ってみる。
営業マンからの絶対的な提案に乗ってみよう。
コロナ以降そんな意思決定の連続ではないだろうか?
そう、思いつくことはひと通り試している

そんな現場はたくさんある。

けれどふと気づくと、こういう声も聞こえてくる。

「結局、誰に向けて発信しているのか、わからなくなった」
「お客様は来てくれるけれど、宿の良さを本当にわかってくれている感じがしない」
「たくさん広告も打っているのに、効果が分かりにくい」

これは偶然でも、一時的な事象でもない。
宿としての届け方の軸があいまいになっていることが
ほとんどの原因だと考えている。

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集客というのは、商品力と同じくらい、「誰に伝えるか」「どう認知されるか」で大きく変わる。

その前提に立つなら、ただ施策を増やすのではなく、
自分たちがどんなお客様に届くべきかをもう一度見つめ直す必要がある。

今回は、
ペルソナ × ターゲット × ロングテール(ニッチ)
という3つの視点を掛け合わせることで、
宿の集客をより本質的に整えていくアプローチを考えてみたい。

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ペルソナ→一番満足してくれる“誰か”を思い浮かべる

「うちの宿に来て、いちばん喜んでくれた人は誰だったか」

そう問い直してみるだけでも、見えることがある。

たとえば──
・平日のゆっくりと静かな時間を求めて、一人旅に訪れた40代女性
・記念日に手紙をもらって泣いていたご夫婦
・地元野菜を使った料理を写真に残してくれた親子連れ

このような「具体的な誰か」の存在は、
宿の“本当の良さ”を体現してくれる存在でもある。

ペルソナを描くとは、
「うちの宿が一番輝くのは、誰と出会ったときか?」
ということを見つめることでもある。

それが明確になると、何を伝えるか、どんな写真を使うか、どんな言葉を選ぶかが自然に変わってくる。

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ターゲット→その人は、どこにいるのか?

ペルソナは、「こういう人に来てほしい」という理想のユーザー像だ。
混同して使われがちだがターゲットは、その人が「実際にいる市場」だ。

たとえば──
・30代の共働き夫婦で、旅行先をInstagramで探している
・中高年層で、じゃらんや楽天で“平日限定”のプランをチェックしている
・車で移動する地方在住者で、週末に近場の温泉宿を探している

つまり、どこに、どんな形でその人が存在しているかを見つけること。

ここがズレていると、せっかくの魅力も届かない。
OTAに載せた言葉が響かない。
SNSの発信が空振りになる。
客層がブレて、現場にしわ寄せが来る。

だからこそ、ペルソナとターゲットがきちんと接続されているかどうかが、宿の施策すべての“出発点”になる。

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ロングテール→かつての量産型から、情報設計の時代へ

一昔前、ロングテールという言葉は「プランを増やすほど売上も伸びる」といった意味で使われていた。

実際は楽天でもじゃらんでも、
100個、200個とプランを作れば、検索上の露出は増えた。

でも、いまはスマホの時代だ。
スクロールの中に限られた数の選択肢しか表示されず、
選択肢が多すぎると、むしろ選ばれにくくなる。

つまり、「幅を広げる」ことが、
そのまま「届く」ことにはならなくなった。
余談ではあるが、
数が多いほど選ばれると思いがちだが、実は逆のケースもある。

心理学者シーナ・アイエンガーの有名な研究では、
24種類のジャムを並べたときよりも、6種類だけのときの方が、
10倍以上も購入率が高かったという結果が出ている。

これは選択肢が多いほど、人は迷って決められなくなるという現象で、
選択のパラドックスとも呼ばれる。

宿のプラン設計でも同じことが言える。

数を増やすより、意図を持って絞ることが、選ばれやすさにつながるのだ。
届けたい相手に、何をどう届けるか?
その設計力こそが現代に問われているのだ。

では、一方でロングテールの発想はもう使えないのか?
いえ、そんなことはない。

ロングテールの本質は「少数でも、深く刺さる設計」を増やすこと。
つまり、“誰に届くか”を意図して“選べる状態”ニッチな状態をつくること。

そう考えると、これは認知戦略とも言える。

そしてここに、ペルソナ(=届けたい理想像)と、
ターゲット(=市場としての実在)が接続されると、
ロングテールの情報設計は極めて高精度なものになる。

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3つの掛け合わせが生む、新しい集客のかたち

この3つは、それぞれ単体では不十分だ。
でも掛け合わせると、非常に強力な「軸」になる。

たとえば──

・ペルソナ:40代女性、静かな時間を求めて一人旅する人
・ターゲット:Instagramで「静か 温泉」で検索する層
・ロングテール:平日限定、一人旅プラン+読書灯付き+静かな部屋確約

これがひとつの戦い方になる。

あるいは──

・ペルソナ:仕事を辞めて母娘旅行を計画している60代女性
・ターゲット:じゃらんの「親子旅」特集を見ているユーザー
・ロングテール:60歳以上ペア割+貸切風呂+季節の贈り物付きプラン

このように、誰に・どこで・どう届くかを意図して組み立てることで、
結果として、価格を下げなくても選ばれる状態が生まれてくる。

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売上は、構造から生まれる

旅館の集客が迷走するとき、
多くの場合は“誰に伝えたいか”が曖昧になっている。

そのまま手数だけを増やしても、打ち手が増えるだけで、成果にはつながりにくい。

今こそ立ち戻るべきは、
誰が喜んでくれるのか。
誰に来てもらえたら、宿もお客様も幸せか。
その人に、どんな設計で届くのか。

ペルソナ × ターゲット × ロングテール(ニッチ)

この掛け合わせが、旅館の発信と設計に一本筋を通す。

そしてそれは、売上という結果よりも先に、
お客様との納得感のある関係を育ててくれるものになるはずだ。

佐藤弘明
佐藤弘明
常務取締役

旅館支援歴16年|集客・ブランド設計・運営改善まで現場密着伴走|旅館業界のリアルな現場から生まれる気づきや宿の未来を共につくるための視点を日々発信しています。

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