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価格の差に、宿の哲学はあるか

価格の差に、宿の哲学はあるか

二重価格問題の先にある、信頼という設計

宿の価格はいつも静かに問われている。
それは単なる数値ではなく、目に見えない約束でもある。

最近では、OTA(オンライン旅行代理店)をめぐって、こうした「価格をめぐる摩擦」がより明確な形になってきた。
Booking.comなどでは二重価格の是正が進み、自社サイトでOTAよりも安い価格を出していると掲載順位の低下や掲載除外といったペナルティの対象になることもある。

OTAにとっての論理は明快だ。
どこでも同じ価格であること(パリティ)こそが、ユーザーに対する信頼の源であり、価格差があることはサービスの信用を損なうとされている。

一方で、宿の側に立つと事情は異なる。
小さな宿にとって、
自社サイト経由で予約してくれるお客様ほどありがたいものはない。
OTAの手数料を回避できるだけでなく、
接点も深くなり関係性も築きやすい。
だからこそ「公式限定の特別価格」や「再訪者向けの優待価格」を設けたくなるのはごく自然な営みでもある。

しかし現実にはその自然な動きが、
アルゴリズムによって検知され、是正対象になってしまう。
これがいわゆる二重価格問題だ。

ではどうするか?

価格で勝負しないこと。
もっと言えば、「価格以外の価値で勝負する設計」に舵を切るしかない。

たとえば、同じ価格でも自社サイト限定でアーリーチェックインやワンドリンクをつける。
あるいはLINE登録者やDM経由のクローズドな経路だけで
特別価格を提示する。
キャンペーンとしての理由(周年記念や地域連携)を明確にして価格差を演出するという方法もある。

こうした工夫はどれも価格差を納得できる差へと変える試みだ。
安くするのではなく「なぜこの価格なのか?」を説明できるようにする。
それは割引ではなく設計である。

価格は、宿の意思であり、戦略であり、哲学である。
そしてそれをどのように伝えるかが、
宿の信頼をかたちづくっていく。

価格だけがマーケティングではない。
けれど価格ほど正直なマーケティングもまたないのかもしれない。


◆小さな宿でも今日からできる、
 3つの価格設計ヒント

① 価格差を「特典」で調整する

…同料金でも、自社サイト経由なら小さなサービスを添える

② 限定性とストーリーを持たせる

…「この価格はなぜこの人に?」を説明できるように

③ クローズドな導線をつくる

…SNSのDM、LINE登録者、リピーターへ限定案内を

佐藤弘明
佐藤弘明
常務取締役

旅館支援歴16年|集客・ブランド設計・運営改善まで現場密着伴走|旅館業界のリアルな現場から生まれる気づきや宿の未来を共につくるための視点を日々発信しています。

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