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アメリカ人は湯布院に来るのか?理想と現実を読み解く

アメリカ人は湯布院に来るのか?理想と現実を読み解く

ある宿の方からこんな質問を受けた。
「アメリカ人のお客様にうちにももっと来てくれませんかね?」

湯布院のような情緒あふれる温泉地は、
世界のどこかにいる誰かにとって、
一生に一度の訪問先になる可能性はある。
現に交通の便がいいエリアのお客様(アジア系)はコロナ以降も急増している状況だ。
それに比べ現実にはアメリカ人の姿はそこまで多くない。
見回すと別府に少しだけ増えてきている程度だ。
では実際その差はどこにあるのだろうか。

① まずは数字から見る。そもそもアメリカ人は日本に来ているのか?

JNTO(日本政府観光局)のデータによると、
2023年の訪日アメリカ人旅行者数は約214万人(前年比+70.2%)。
2024年も堅調に伸びているが国別で見ると
韓国、中国、台湾、香港に次ぐ第5位である。

つまりは、
日本全体には確かにアメリカ人は来ている。
だがその多くが東京・大阪・京都・広島などに
集中しており大分(特に湯布院)まで来ている人はごく一部というのが実情そうだ。

② やっぱりそもそもの飛行機の距離感という現実

米国本土(例:ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨーク)から日本までは、
直行便でも約10~13時間のフライトとなる。

そこからさらに、
1.福岡空港まで移動し(成田・羽田経由も含めて追加2〜4時間)
2.福岡から大分まで高速バスで約2時間
3.さらに湯布院まで約1時間
といった乗り継ぎが必要になる。
これだけで&片道の移動時間が
合計15〜18時間超。
慣れている旅行者でもかなりの旅路であることは否めない。なかなかの旅路である。

③ 湯布院がアメリカ人にとって遠い理由

距離や時間の問題だけではない。
以下のような課題も大きい。

① 情報の少なさ
 → 湯布院を紹介する英語記事・YouTube動画・口コミがまだ少ない。
② 予約導線のハードル
 → Booking.comやExpediaなどだけで予約まで踏み切れない。
③ 分かりやすい文化的イメージの不在
 → いわゆる分かりやすい金閣寺や富士山のように日本の象徴としてのシンボリックな存在が弱い。
④ 交通手段のわかりにくさ
 → 海外から見ると、最寄り空港がどこかさえ分かりづらい現実。距離感の測りにくさ。

④ それでも来る人がいるという希望もある

そんな中でもなぜ一部のアメリカ人は湯布院に来てくれるのか。

それは、
・ジャパン・レール・パスで日本一周をしているバックパッカー
・温泉文化やアニメ・映画を通じて日本に強い関心がある人
・富裕層向けラグジュアリーツアーを利用する人
など、何らかの「文脈」を持っているからだ。

またインバウンド専門ツアー会社では「九州の自然と食文化」をテーマにした商品も出ており、
大分は「知る人ぞ知る」エリアとして着実に評価を得ているのも事実だ。

⑤ Facebookを玄関口にする可能性

たとえばInstagramではリーチしにくい
中高年層や英語圏で旅の参考にFacebookを活用する層に向けて、温泉×自然×静かな滞在をテーマにした情報発信を行うこと

具体的には──
① 英語での投稿(写真+1分程度の体験談)
② 現地文化を伝える動画(例:温泉の入り方、浴衣の着方)
③ 2泊3日モデルコースを写真や動画で紹介
④ Booking.comや自社予約導線のリンク付き

これらを定期的に発信することでいつか行ってみたいという潜在層にじわじわ届いていく。
色々なデメリットを越えて届く可能性が作れる。



⑥ 来てもらうではなく来る理由をつくる

観光地や宿泊施設ができることは、
来てくださいと叫ぶことではない。

むしろその土地にしかない価値を、
誰かの目線で語ること。
文化でも、
風景でも、
何気ない宿の朝ごはんでもいい。

「ここを訪れた人に、何を感じてもらいたいか」
その問いに自分なりの答えを持つことから、
湯布院はまた世界へ近づいていけるはずだ。

一つの問いかけから宿単体でもできることや
やはり街全体で取り組まざるを得ないことが
混在しており宿を支援するという切り口から街を作るという大変さと向き合う必要があるなと
改めて感じる1日でした。

佐藤弘明
佐藤弘明
常務取締役

旅館支援歴16年|集客・ブランド設計・運営改善まで現場密着伴走|旅館業界のリアルな現場から生まれる気づきや宿の未来を共につくるための視点を日々発信しています。

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