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オールインクルーシブって、なんだろう。

オールインクルーシブって、なんだろう。

日本語的に言うと全部込み(?)
その響きを聞くともう財布を出さずに過ごせる安心と、
その場でいちいち迷わなくていい気楽さが頭に浮かぶ。
旅先だからこそそんな配慮がうれしいということで、
ある意味流行っているようにも感じる。

最近はリゾートホテル等だけではなく温泉旅館でもチェックインからチェックアウトまで追加決済ゼロを掲げる宿が増えてきた。
果たしてお客様は本当に喜んでいるのか?宿側の数字は合うのか?

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①お客様の反応
全国1,200名調査ではまた利用したいが68%、
満足度4点以上(5点満点)が4.2。
理由の上位は追加支払いを気にせず済む、子連れでも気兼ねが少ない、
滞在に集中できる。
安心とわかりやすさが高いリピート意向につながっている。

②需要と供給の伸び
主要OTAで該当プランの予約泊数はコロナ前比約3〜4倍。
一休.com掲載施設はこの3年で約1.8倍に増えた。
宿側が「次の武器」として導入を進めた側面も大きい。

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変動費構造の変化

一般的な旅館では売上に対して変動費が32%。
内訳は食材25%、有料飲料3%、アメニティ4%。
ここへ「全部込み」を載せると、
現場ヒアリングでは次の上昇幅が現実的だった。

・飲料の無料化で消費量が約1.4倍 +3%
・ラウンジ軽食や客室ミニバーの補充 +2%
・例地酒テイスティング用ミニボトルなど準ずる体験素材 +2%

増え幅はおよそ合計+7%。変動費率は32%→39%。

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15室旅館の宿で例えば実施してみる。

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収益構造比較(15室旅館の例)

価格転換を前提に
客単価を22,000円→27,500円(+25%)、変動費率32%→39%(+7%)とする。

従来の粗利 22,000×(1−0.32)=14,960円
導入後の粗利 27,500×(1−0.39)=16,775円

粗利が1,815円増える計算。
固定費を同規模旅館の平均で置くと、
損益分岐稼働率は71%→63%。客単価アップと稼働60%台半ばの維持が両立すれば帳尻は合うがどちらかが崩れると赤字販売になる。

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うまく回る宿の三つの仕掛け

  1. 1.地域素材を体験化
    地元果実シロップのカクテルバーや朝の果樹園ツアー、
    焚き火とコーヒー。
    土地の時間を五感で味わわせる工夫がリピートを呼ぶ。
  2. 2.選択肢よりやはり「余白」
    アクティビティは1日1〜2本に絞り、
    残りはラウンジで自由に過ごす設計。全部試せなかった不満を生ませず、スタッフ負荷も平準化できる。
  3. 3.利用しない人への逃げ道
    お酒を飲まないゲストに自家焙煎コーヒー体験、
    アクティブが苦手な人に貸切図書室。外してもいい選択余力を用意すると満足度が底上げされる。

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それでもやっぱり残る壁

  1. 1.高原価競争リスク
    よっぽど明快な優位性がないとオールインクルーシブと言うだけの「放題合戦」がエスカレートすると価格転換がしづらい。
  2. 2.同質化の罠
    今後オールインクルーシブ自体が差別化にならない。
    世界観の独自性やある意味で問われる。
  3. 3.人手という資源制約
    体験の多くは人的サービスだ。
    人手不足下で24時間提供を維持するにはスタッフ再配置や
    オペレーション簡素化まで含め簡素と感じさせない工夫が欠かせない。

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価格ストレスを消す安心、
土地と物語を束ねる体験、
裏側まで計算した原価設計。
この3点がそろったときオールインクルーシブは客単価と
リピートを同時に伸ばす仕組みになる。

オールインクルーシブ。
それは宿のすべてをさらけ出し宿の底力が試される施策かもしれない。
宿の力で勝負する覚悟が大切な気がします。

佐藤弘明
佐藤弘明
常務取締役

旅館支援歴16年|集客・ブランド設計・運営改善まで現場密着伴走|旅館業界のリアルな現場から生まれる気づきや宿の未来を共につくるための視点を日々発信しています。

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