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「地方創生」という言葉。

「地方創生」という言葉。

地方にいるとよく聞こえてくる言葉の一つがこれだ!
地方創生。
これってなんですかね?

地方も生きていると思うけれど東京に比べると大変だということで、
2014年政府が初めて「地方創生」という言葉を公式に掲げたのだ。
実際には出どころなどあまり追いかけたことがなく
気づいたら横にいたぐらいの存在感を出している言葉だが、
今回この地方創生という言葉から何かを紐解けないかと記事化してみる。

まずは、
東京一極集中の是正、
地域の雇用創出、
若者の地方定着

確かに掲げられたビジョンはまっとうだったし、
誰もが必要性を感じていたことであるのは間違いない。
ちょっとだけこの言葉が出た2014年という時代を少し見てみると、
このままでは地方が消えるんではという
現実が2014年の空気感に漂っていた。
不勉強に付き私は記憶が曖昧でしたが2014年5月に発表された『増田レポート』なるものの存在だ。
2040年には896の自治体が消滅の可能性という予測は、
国も地方も大きく揺らす結果となった。

ちょうどその頃都市部への人口集中が止まらず、
東京圏は毎年10万人以上の転入超過。
一方で地方は若者の流出・出生率の低下・高齢化の三重苦に沈んでいた。
地方創生はこうした構造的な人口問題に対し、
国として初めて言葉を与えたとも言える動きだった。
言葉は強かった。
だがその力に実感が追いつくまでには時間がかかった。
だがそれから約10年が経った2025年の今、
地方にいるとどこか腑に落ちない違和感が残る。

交付金などは確かには大きく投下され、
取り組みも数えきれないほど行われた。
けれど地域が持続可能になったと実感できる場面に、
私はまだそう多く出会えていない。

改めて数字は語る。
2014年から2023年までの約10年で、
全国の地方自治体が計画した地方創生事業は
4万件を超えた(内閣官房資料より)。
その中で成果報告書が提出された事業の中には移住者数や観光客数の一時的増加を示すものもある。

だが肝心の人口はどうか。

総務省の統計では、東京圏(1都3県)の転入超過は2023年も13万人超。
地方からの転出は止まっていない。
逆に2040年までに896の市区町村が消滅可能性自治体と指摘されている。

日本創成会議より

結局のところ人の流れは変わっていないのだ。
むしろ地方の現場では、もう若者が来ることを前提にしてはいけないのではと言う声さえ聞かれるようになった。

スローガン的「創生」という言葉の強さと空虚さ。

創生とは本来何かを生み出すことを意味する。
しかし現場で感じるのは、
創出ではなく維持のための消耗だ。
空き家の再生、
移住者の誘致、
観光プロモーションなどなど。
これらは確かに分かりやすい努力の証であり
意味のある一歩でもあると思う。
だが生まれたという実感は多くの地方でまだ得られていないのでは
ないだろうか?

なぜなら創ることよりも壊れないように支えることに
多くのエネルギーが注がれているからだ。

地方の声を、見失ってはいないか。

本当によく思うのは東京一極集中による改革を謳ったスローガンである「地方創生」という言葉に始まったが結局のところ価値は高まっていない。
現実問題として地方からの声が取り込まれていないむしろ地方からの声を挙げれていない現実ではないか?
2024年の内閣官房報告書では、
今後の地方創生の方向性として「地域が主役」という言葉が繰り返された。
だが本当に地域の声が政策の中心にあっただろうか。

現在もそうだが国の動き方は殆変化が見られないある意味でGOALから逆算の思考なのでそれに合わせて予算を立ててどんどん使っていくスタイルだ。多くの施策が「成果指標ありき」になり、
地域の目に見えない価値は数字にならないものとして埋もれてしまってはいなかったか。

高齢化率、観光消費額、Uターン移住者数…。
それらが悪いわけではない。
だが数値の裏にある暮らしの気配や小さな誇りに、
耳を傾ける余白がもっと必要だったのではと思ってしまう。

地方創生のこれからは、足元にある問いから始めたい。

地方創生という言葉が社会に現れてから10年が過ぎた。
この10年を通してわかったのは地方を変えるのは大きな政策ではなく、
ひとつひとつの問いに丁寧に向き合い、継続する現場の力だということだ。

・この町に、若い世代が居場所を見出せるか。
・この宿に、また誰かが泊まりたいと思える理由があるか。
・この空気に、人の営みが滲み出ているか。

地方創生の本質は、
大きく変えることではなく見えない営みを絶やさないこと
なのかもしれない。

私が住んでいる別府でもそうだ昔は大衆浴場へパンツ一丁で出かけているじいちゃんがいっぱいいた。それも一つの営みの中にある風景だったように今は思う。もちろん2025年の今にそのような景色は皆無だ。
ちょっとしたことかもしれない。
でも時代は確実に進んでいる。

───

言葉だけが先行した10年。
でもここから先は、
実感のある「創生」が始まるようにしたい。

地方という言葉に、顔があるように。
創生という言葉に、営みが宿るように。

そのための次の10年を私たちは選び始めているのだとこの地方創生という言葉に触れるたびに感じるのでした。

佐藤弘明
佐藤弘明
常務取締役

旅館支援歴16年|集客・ブランド設計・運営改善まで現場密着伴走|旅館業界のリアルな現場から生まれる気づきや宿の未来を共につくるための視点を日々発信しています。

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