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価格を変えると人は動く?顧客心理と価格戦略の話

価格を変えると人は動く?顧客心理と価格戦略の話

コロナ禍を終えて回復基調にある宿泊業界。
色々な諸問題も抱えつつも、
売上の増加や単価アップなど
好調な話も飛び交っている昨今。

その中でもやはり価格への転換とは常に
迷いの中で実行されることがしばしばである。
そもそも施設として決めている値段が
何を基軸に設定されているかも含め
曖昧だったりする現実もある。
そんな料金設定だが今回はダイナミックプライシングと顧客心理を少し掘ってみたい。

───

例えば「今日予約すれば30%オフ」
そう表示されたとき
私たちは冷静に比較して動くのではない。
むしろ今決めないと損をするという
感情が先に立つ。

これは「損失回避性(Loss Aversion)」と呼ばれる心理の影響だ。人は得をするよりも損をしないことに敏感に反応する。

この感情のゆらぎを宿泊業の価格設計に
活かすこと。それが今改めて注目される「ダイナミックプライシング」の考え方だ。



① なぜ価格を変えるのか?

観光庁「令和5年版 観光白書」によれば、
2023年の宿泊施設の平均稼働率は56.3%。
稼働率が80%以上の施設は、全体のわずか15%未満だった。

つまり全国の多くの宿泊施設で40%以上の部屋が空いているという現実。

一晩の空室は、翌朝にはゼロになる。
「その時間だけの価値」を最大化するには、
今この瞬間一番価値を感じてくれる人に適正な価格で届けるしかない。



② 顧客心理と価格の関係

Booking.comの調査によれば、
宿泊予約者の約73%が価格が決め手だったと回答している。

だがここで誤解してはいけないのは、
「安いこと」が武器なのではなく、
「得している」と感じられることが鍵になるということ。

例えば
◇早割
→早めに予約を決めた人へ10〜20%割引。
計画的な貴方へのご褒美と言ったところだろう。
◇直前割引
→ 今日泊まりたい人に、
当日限りの特別価格。衝動買いを促す。
◇公式サイト限定ベストレート+特典
→ OTAより安くさらにアーリーチェックイン等の特典つき。直接予約を後押し。

価格だけで勝負するのではなく、
その人にとって納得できる理由をつくることが
大切だ。



③ 利益を守りながら売上を伸ばすには?

仮に通常価格20,000円の宿が
10%オフで18,000円にするとする。
空室が残るよりは、
18,000円でも売れた方が収益的に有利。
一方で土曜など人気の日は25,000円に価格を上げても予約が入る可能性は十分にある。

つまりは、
価格の最適化 × 稼働率の平準化= 売上の最大化 という構図が成り立つ。

実際日本旅館協会の報告によれば、
レベニューマネジメントシステム(RMS)を導入した中小旅館では平均で12〜20%の売上増加が見られたという。



今回価格というポイントと顧客心理という面にフォーカスしてみたが、
もちろん人は価格だけを見ているのではなく、
「この瞬間に動く理由」を探している。

価格戦略とは単に割引をすることではない。
この体験にこの価格なら納得できる。
そう思ってもらえる価値設計をすることだ。

想い出とは無形商材に近いかもしれない。
宿はサービスを売るでなく記憶を売っている。
だからこそ、価格は想い出の入口として
丁寧に設計されるべきなのだ。
改めて自分たちの価格設計が相手にとっての価値につながっているかという視点で価格を見てみるのも新しい気づきになるのではないだろうか。

佐藤弘明
佐藤弘明
常務取締役

旅館支援歴16年|集客・ブランド設計・運営改善まで現場密着伴走|旅館業界のリアルな現場から生まれる気づきや宿の未来を共につくるための視点を日々発信しています。

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