印象で選ばれる宿へ

旅館を選ぶとき人は
何を見てどう決めているのか?
そんな問いを抱きながら日々現場に立っていると
結局のところ「印象ってすごく大きいよな」と思う瞬間が何度もある。
実際に観光庁のデータを見ると、
旅館の平均稼働率はホテルよりも低く、
36.7%ほど。
全国の旅館数は、
この20年で3割以上も減ったという現実もある。
でもその背景には、
立地や後継者の問題だけでなく、
「選ばれ方が変わった」ことがあるんじゃないかと私は感じている。
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現在認知や露出といった旅館を知ってもらうタイミングは当日の玄関ではなく、
インターネットの画面の中で出会われている。
検索して、
写真を見て、
雰囲気を感じて、
数秒のうちに「アリかナシか」が決まっていく。
いわゆる旅前情報で大きな判断がなされている。
もうその時点で、
予約への道筋の大多数くらいはついている。
しかも相手はこちらが思っている以上に、
失敗したくないという想像の重さを抱えていて、
行動するまでの心理的なハードルは意外と高い。
だからほんの小さな違和感でも「やめておこう」となる。これはもう誰が悪いとかではなくて、
選ばれる構造が変わってきたというだけの話だ。
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もちろん良い宿だからといって、
選ばれるわけじゃない。
ちゃんと良さそうと思ってもらえなければ、
伝わらない。
この良さそうをどう形にするか、
が宿泊業のこれからの表現力に
問われている気がする。
たとえば、
①写真が古いままだと“今が見えない”
②料理がぼんやり写っていると味が想像できない
③言葉が抽象的すぎると泊まる理由見つからない
そんな些細なことで、
離脱されてしまう。
旅という高揚感に水を差してしまうのだ。
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だからこそ私たちは印象設計というのは
予約導線の一部だと思っている。
世界観で惹きつけて、
実益で納得してもらう。
そのバランスが噛み合ったときに、
はじめて信頼して選んでもらえる宿になる。
それは何も嘘をついたり
飾り立てるということではない。
その宿がもともと持っている、
ちゃんと良いところをちゃんと伝えるために、
写真も、
言葉も、
導線も、
すべてがある。
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旅館はもともと「人が感じる場」だった。
だから選ばれるまでの“感じ方”にも、
もっと手をかけていい時代に
来ているのだと思う。
そしてそれは、決して小手先ではなく、
本当にその宿を愛している人たちの想いが、
きちんと画面の先に届くようにすること。
ただ良い宿を作るだけではなく、
良さが伝わる宿になること。
いま求められているのは
きっとそういう宿なんだと思う。
だからこそ時代背景や自分たちがどう選ばれているのかをもう一度見直すことがとても有効で有益である。
ぜひ今一度窓口(認知場所)の見直しをユーザー目線で行ってみてください!
必ず新しい発見があることでしょう。

