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「世界観」と「実益」のあいだで。人が選ぶという行為について

「世界観」と「実益」のあいだで。人が選ぶという行為について

ここ最近は選んでもらうということの心理に触れにいくことが多くある。
例えば何かを選ぶとき、
人はどこを見ているのだろうとか?
なんだか面倒くさそうな人感が出ますね(笑)

それでも人の購買心理を読み解きにいくのは
奥深いもので良さそうな雰囲気に惹かれて、
気になってでも本当にそれでいいのか、
何度も確かめてしまう。
いざ予約や購入となると、
指先が止まってしまうあの感じ。

どんなものでも、
最初に人を動かすのは「世界観」だ。
それは理屈じゃない。
“なんかいいかも”というあの直感。

けれど、人は世界観だけでは決められない。
結局のところ「本当に自分に合っているのか?」という現実との接点を探し始める。

価格、立地、サービス、利便性。
そのひとつひとつに理由を見出せたとき、
ようやく人は、
選ぶという行動に進むのだと思う。

たとえば宿。

「写真が素敵だったから」という理由で訪れてくれるお客様はきっとその“空気感”に惚れ込んでくれたのだろう。
けれどそれだけでは終わらない。

部屋の広さ、
スタッフの距離感、
食事の満足感─
その一つでも期待から外れてしまえば、
「なんだか違った」という印象がすべてを
上書きしてしまう。

世界観で惹きつけても、
実益で裏打ちされなければ、
信頼にはつながらない。

逆もまた然りで、
「設備は十分。でもなんとなく選ばれない」
そんな施設には、
空気の層のような“感覚の欠落”がある。

人は選ぶときに無意識に「代償」を
見積もっている。

時間、
手間、
移動、
失敗のリスク。
行動には想像以上の心理的負担が乗っている。
だからこそ、
言葉も、
写真も、
デザインも、
すべてが“安心して選べる理由”でなければ
ならない。

表現のバランスが少し崩れるだけで、
その選択は簡単に、
他の選択肢へと流れていってしまう。

最近あらためて思うのは、
人の選択行動はとても人間らしいということだ。

「好き」と「納得」の、
あいだにある揺らぎ。
どちらか一方では成立しない、
感情と理性のバランス。

マーケティングも、
ブランディングも、
実はその両方を抱えた“人間”と向き合う営みなのだと思う。

この感覚は、
おそらく次回書こうとしている「採用」もまったく同じだ。
人は職場も条件だけで選ばない。
未来を投影できるかどうか、
つまり“世界観に惚れられるかどうか”。
そこから現実に降りてくるという、
順序がある。

それはまた、次に書いてみたいと思う。

佐藤弘明
佐藤弘明
常務取締役

旅館支援歴16年|集客・ブランド設計・運営改善まで現場密着伴走|旅館業界のリアルな現場から生まれる気づきや宿の未来を共につくるための視点を日々発信しています。

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