宿泊業界/働くという選択肢について考える

旅館やホテルで働いてみたい人って、実際のところどのくらいいるんだろう?
そう思ったのは求人の相談が増えてきたからだ。
「人が集まらない」「いい人が来ない」そんな言葉をあちこちの宿から聞くようになった。
実際にはコロナ禍の後からだ。
でもふと立ち止まって考える。
そもそも旅館やホテルで“働いてみたい”と思っている人っていまどのくらいいるんだろう?
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データを見てみる。
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によれば、
宿泊・飲食サービス業の有効求人倍率は常に4倍〜5倍前後と高止まりしている。
つまり1人の求職者に対して4〜5件の求人があるという状況だ。
一般的な事務職などと比べると、求職者数自体が極端に少ないことが伺える。
宿泊業界を「選択肢のひとつ」として考える人の数が年々減っていることを意味している。
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なぜ、旅館やホテルで働く人が減っているのか。
理由は誰もがうっすら感じていることかもしれない。
① 長時間労働のイメージ
② 給与水準の低さ
③ 休日が取りづらい
④ 人間関係のハードさ
⑤ 最近ではSNSでの“暴露系発信”が目立つ
⑥ キャリアアップの道が見えにくい
──挙げればきりがない。
でも実際にはかなり改善されてきている部分もあるがこれは“業界全体の当たり前”として放置されてきたという事実でもある。
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それでも、旅館やホテルで働くことは、悪いことばかりじゃない。
私はこの業界に16年以上関わってきた。
もちろん、きれいごとだけでは語れない現場もたくさん見てきた。
でも同時に、「ここで働けてよかった」と本気で話すスタッフや経営者にも何度も出会ってきた。
たとえば──
「お客様に“ありがとう”と直接言われる仕事」
「地域と文化に触れながら働ける環境」
「非日常の空間をつくるプロとしての誇り」
目の前の人に心を届けられる仕事。
言葉では伝えきれない“リアルな実感”を
持てる仕事。
それが宿泊業の魅力だと私は思っている。
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集客という観点においても選ばれることを最近では特に重要視しれいるが、働きたいを生むこと
大切なのは、“働きたくなる旅館”をつくれるか、という問いだ。
もう「人が来ないのは仕方ない」で終わらせる時代ではない。
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旅館やホテルで働きたい人が、また増える未来へ。
数は減ったかもしれない。
でもゼロではない。
働きたいと思う人がいないのではなく、
「働きたいと思える場所が見つかっていない」だけかもしれない。
そう考えると希望はまだ、ここにある。
旅館やホテルで働きたい人が、また増える未来へ。
数は減ったかもしれない。
でもゼロではない。
働きたいと思う人がいないのではなく、
「働きたいと思える場所が、まだ十分に“見える化”されていない」のかもしれない。
だからこそ、旅館やホテルの側から──
・自分たちの仕事の価値を言葉にする
・どんな成長ができるのかを伝える
・どんな仲間がいて、どんな日々があるのかを“開いて”いくそんな発信や設計が、これからは必要になってくる。
待遇の見直しだけじゃない。
“この場所で働いてみたい”と誰かが感じるきっかけを、宿の側がつくっていけるかどうかが、未来を左右する。
この業界で、働くという選択肢が「ちょっと面白そうかも」と思えるような場を、
ひとつずつでも増やしていけたら──
それだけでも、未来はきっと変わっていく。

