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宿泊料金の上昇と旅館経営価格改定の必要性について考えてみる

宿泊料金の上昇と旅館経営価格改定の必要性について考えてみる

ここ最近、
宿泊料金が上がったなと感じることが増えた。
何を隠そう、私たちもその一端を
担っているわけですが(笑)

分かりやすいエリアで言えば、
京都では客室単価がコロナ前を超え
東京や大阪地方の観光地でも、
気づけば当たり前のように価格が上がっている。

そう考えると、「なんとなく上がっている」わけではなく宿泊業界そのものが確実にコロナを契機に
変わりつつあることが見えてくる。

けれど現場を見ていると
価格を上げる決断ができずにいる旅館も多い。

相談をいただくお客様もまさにその渦中にいる。

よく聞く理由はこうだ。
「値上げしたらお客様が減るかもしれない」
「常連のお客様に申し訳ない」
この気持ちは痛いほどわかる。
けれど環境がこれだけ変わった今
据え置きのままで進めば、
未来への土台を削ることにもなりかねない。

これは宿泊業に従事する方々が
どれだけお客様に寄り添ってきたか──

もっと言えば、寄り添いすぎてきた現実を映している。ある意味モノがあふれる時代に成立していた「薄利多売モデル」の限界だと感じている。

特に地方旅館や食事付き旅館では、
物価上昇、
人件費上昇、
設備維持コストといったより直接的な
影響を強く受けている。
単価は自然に上がるわけではない。

だからこそ、「みんな上がっているからうちも大丈夫」と安心してしまうのは危ない。
旅館こそ主体的に
価値と価格を見直す必要がある。

それでも価格改定に踏み切れない理由には
いろんな理由がある。

満足度への対価という点で言えば
お客様の顔が見えにくくなったこともあるだろう。かつてのようなリアルな常連文化は、
ネット予約主流の今、
つながり方が変わってしまった。

さらに働き手不足や、
業界全体の課題も重なっている。

不足に目を向ければ向けるほど、
値上げへの踏み切りは難しくなる。
最終局面では、
結局顔を突き合わせて今日満足して返ってもらえるか?しかないからだ。

それらの不足も含めて経営者自身もどこかで値上げに後ろめたさを感じている。
それもまた人間らしい感情だと思う。

けれどそこに留まり続ければ
じわじわと宿の体力が削られていくのも現実。

このまま価格を据え置き続けた先にあるもの

① 利益率の悪化
② 設備や人材への投資がより難しくなる
③ ブランド力の低下

安さで選ばれる宿になれば、
やがて「その他大勢」となり疲弊は避けられない。

価格ではなく、
価値で選ばれる宿へどう転換するか?
その難しい課題にやはり目を向けていく
必要があると改めて思う。

必要なのは「自分たちの価値を信じ直すこと」
よくある言葉だが、あえてもう一度言いたい。
自分たちの商品を、誇りを信じてほしい。

そして自信を持ってほしい。

価格改定とは、ただ値段を上げる話ではない。
手間をかけ、心を込めて積み重ねてきたものを
改めて見つめ直し正しく届ける作業だ。

① 地元の文化や自然を伝える宿
② 食事や設えへのこだわりを言葉にして伝える
③ 滞在体験を丁寧に設計し直す宿

こうした積み重ねが
自然に「価格に見合った納得感」を生み出す。

むしろ価格アップは宿の魅力を際立たせる。
それが自信につながり好循環を生む。

宿泊価格はやはりお客様との約束。
その約束を、
誇りを持って結び直していってほしい。

──

未来を信じて
いま宿泊単価は確かに上がっている。

でもそれ以上に、
「宿の価値をきちんと伝えようとする空気」が
確実に生まれ始めている。

お客様も、
世の中も、
ただ泊まれればいいとは思っていない。
価値や感性に響く「こだわりという思想」を探している。

だからこそいまこそ見直すチャンスだと思う。

コロナ以降、
挑戦した宿と何もしなかった宿とで
じわじわと結果が分かれ始めている。
勝っているところは、
さらに勝ちを積み上げにいっている。
宿泊業界も確実に淘汰の時代に入った。

これだけの手間と真心を込めて
「生きる」ことを支えている産業なのに
まだ十分に伝わりきっていないのなら
もう一度自分たちの宿を、
見つめ直していい。

安さだけで選ばれないために。
宿の未来を、文化を、守るために。

そう考えると
先行きは不透明かもしれないが
「何を届けたいか」は、
不透明ではないはずだ。
価格改定は未来を描くための一歩だと思う。

そんなことを、早く来すぎた免許更新の違反者講習前にふと考えたお昼時でした。

佐藤弘明
佐藤弘明
常務取締役

旅館支援歴16年|集客・ブランド設計・運営改善まで現場密着伴走|旅館業界のリアルな現場から生まれる気づきや宿の未来を共につくるための視点を日々発信しています。

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