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なぜ事業承継が難しいのか?本当の課題とは

なぜ事業承継が難しいのか?本当の課題とは

旅館の未来を考える中で特に感じるのは「事業を承継することの難しさ」です。
ただ後継者不足だけが課題ではなく、
地域や業界全体が抱える深刻な構造的問題が影響しています。
中小企業や旅館業界では、
現場の重要性を理解しつつも根本的な解決が進みにくい現状があるのです。

主な現状について、
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1. 担い手不足が招く未来
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地域に根ざした旅館や宿泊業は、
担い手不足により営業の縮小や閉鎖が相次いでいます。
現場では85%以上の施設が「人手不足」によってサービス提供が制限されている状況です。
この問題を放置すれば、地域文化や観光業全体の衰退につながりかねません。

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2. 経営者の年齢と次世代の距離
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経営者の平均年齢は60代後半となり、
後継者が決まらない企業が増加しています。
次世代が地域に戻り、事業を引き継ぐ意義ややりがいを
どう創り出すかが重要です。

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3. 経営を引き継ぐ難しさ
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事業承継とは、
単に「仕事」を引き渡すだけではありません。
顧客や従業員との信頼関係、
地域社会とのつながり、
施設の歴史や価値観など、
目に見えない「資産」をどう
継承するかが大きな課題です。

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4. 資金面のハードル
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相続や設備投資、事業再編に伴う費用が重すぎる場合、
後継者が事業を諦めざるを得ないこともあります。
こうした負担を軽減する仕組みが整っていない現状では、
事業存続が難しくなるのも無理はありません。

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5. 変化する宿泊市場
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旅館業界は訪日外国人観光客の増加や
ライフスタイルの変化に対応を求められています。
従来の運営スタイルでは競争力を維持できず、
事業承継の前に事業モデル自体の見直しが必要になるケースも少なくありません。

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解決のための3つの一歩
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事業承継の難しさを前に、何から始めればいいか迷うこともあるでしょう。
しかし、重要なのは「最初の一歩」を踏み出すことです。
以下の3つのアクションを通じて、すぐに動き出せる形をお試しください。

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1. 現状を知る
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まず現状を正確に把握することから始めましょう。
経営者・後継者・スタッフ全員で以下の問いに答えてみてください:
• 何が強みで、何が課題なのか?
• 誰がどの役割を担っているのか?
• 今後5年間で避けられない変化は何か?
この対話を通じて、全員が「同じ地図を持つ状態」を目指します。

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2. 小さな改善を始める
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改革は大きなプロジェクトから始める必要はありません。
次のような小さな取り組みから始めてみてください:
• 施設の一部を改善する。
ロビーの装飾や清掃ルールを見直し、お客様に変化を感じてもらう。
• スタッフの意見を一つ取り入れる。
現場の声を反映し、小さな変化を積み重ねる。
• お客様との対話を増やす。
顧客アンケートや直接の声を集め、改善に活かす。

こうした取り組みが、関係者全員の意識変革につながります。

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3. 一つの目標を共有する
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大きな目標ではなく、今すぐ取り組める「一つの明確な目標」を設定しましょう。
• 「次の1年間で売上を10%アップさせる。」
• 「後継者が月1回、経営者としてのプレゼンを行う。」
• 「地域イベントと連携し宿泊プランを作る。」

短期間で結果が見える目標を設定し、全員が注力することで次の行動につなげます。

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未来のためにできること
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事業承継は単なる引き継ぎではなく、地域と次世代をつなぐ架け橋です。
この機会を活用し、宿のらしさと地域の価値を高めながら未来を築く一歩を踏み出しましょう。

【参考データ】
• サービス連合の調査結果 (2024年)
• 観光業界の現状分析 (travelvoice.jp)

佐藤弘明
佐藤弘明
常務取締役

旅館支援歴16年|集客・ブランド設計・運営改善まで現場密着伴走|旅館業界のリアルな現場から生まれる気づきや宿の未来を共につくるための視点を日々発信しています。

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