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SCROLL

2026.05.09

第1回 採用の入口を洗い出す

入口はあるのに見えていないことがある。
何かを増やそうとする時、
人は今あるものより、
足りないもののほうを先に見がちだ。

採用でもたぶんそうだと思う。

応募が少ない。
人が来ない。
反応が弱い。
そうなるとつい新しい求人媒体を探したくなる。
採用サイトを直したくなる。
SNSを始めたほうがいいのではないかとも思う。

もちろんそれも必要なことはある。
けれどその前に見ておいたほうがいいことがある。

自分たちの宿はいまどこで
求職者とつながっているのか。
どこで知ってもらいどこで止まり
どこで消えているのか。
そこが案外見えていないことが多い。

入口がないのではなく、
入口を入口として認識できていない。
そんな状態も
宿泊業の採用では少なくない気がする。

求人媒体に出している。
Indeedにも載っている。
採用ページもある。
Instagramもある。
見学も受けている。
説明会もやろうと思えばできる。
学校との接点や紹介もまったくゼロではない。

それでも応募が増えない時、
考えたいのは新しい施策を増やすことより先に、
いま持っている入口を洗い出すことだと思う。

宿泊業の採用は、
応募フォームから始まるわけではない。
もっと手前に小さな接点がいくつもある。
第1回ではその接点をどう
見えるようにするかを考えてみたい。

以前書いた旅館の採用における母集団形成の全体に触れた記事は下記です
興味があればご確認ください。

宿泊業の採用は母集団づくりから考える

なぜ最初に入口を洗い出すのか

採用の相談を受ける時、
まず採用サイトを見直そうという話になりやすい。
もちろんそれは必要だ。
ただそこで止まってしまうと、
見えてこないものがある。

それはいま自分たちが、
どこで求職者と接点を持っているのか
という全体像だ。

求人媒体なのか。
Indeedなのか。
Google検索なのか。
自社採用ページなのか。
Instagramなのか。
動画なのか。
見学なのか。
説明会なのか。
紹介なのか。

こうしたものはひとつひとつが採用の入口になる。
ただし持っていることと、
機能していることは別だ。

入口が多いことと入口が働いていることは違う。

ここを混同すると採用の手が打ちにくくなる。

だから最初に必要なのは、
何を改善するかを考える前に、
今ある入口を全部見えるようにすることだ。

採用の入口とは何か

ここでいう入口とは、
求職者がその宿を知るきっかけや、
採用情報に触れる最初の接点のことだ。

たとえば次のようなものがある。

① 求人媒体
② Indeed
③ Google検索
④ 自社採用ページ
⑤ InstagramなどのSNS
⑥ YouTubeや動画
⑦ 職場見学
⑧ 会社説明会
⑨ 学校との接点
⑩ 社員紹介や知人紹介
⑪ 業界団体やイベント
⑫ 口コミ

大事なのはこれをきれいに分類することではない。
まずは思いつく限り全部出すことだ。

正式な採用施策だけではなく小さな接点も含める。
たとえば知人経由で話を聞いた。
スタッフのInstagramを見た。
イベントで名前だけ知った。
学校の先生から紹介された。
こういうものも立派な入口だ。

採用は意外とこうした小さな入口から動く。

宿泊業の採用で入口整理が特に大事な理由

旅館やホテルの採用では、
この入口整理が特に重要だと思う。

なぜなら最初から宿泊業を第一志望にしている人ばかりではないからだ。(むしろ旅館で見ると極少)
地方で働くことに少し関心がある人。
接客の仕事を探している人。
寮がある仕事を探している人。
観光地で働いてみたい人。
生活の都合に合わせてパートを探している人。
そんな人たちがいろいろな入口から流れてくる。

つまり入口がひとつではない。

しかも地方の旅館やホテルは、
会社名だけで見つけてもらえるわけでもない。
知名度がある施設ならまだしも、
多くの宿は
会社名検索だけに頼るわけにはいかない。

だからこそ、
どこで知ってもらうのか。
どこで少し気になってもらうのか。
どこで不安を減らすのか。
どこで見学や相談につなげるのか。

この流れの最初の部分を、
きちんと持っておく必要がある。

入口の整理はそのための出発点になる。

入口を見直してみる

入口が多いことと入口が機能していることは違う

入口を洗い出す時にもうひとつ大切な視点がある。

それは入口の数と、
入口の機能は別だということだ。

たとえば、求人媒体に出している。
Indeedにも載っている。
採用ページもある。
Instagramもある。
見学も受け付けている。

一見すると入口はたくさんあるように見える。

でも実際には、

求人媒体は出しているだけで見られていない。
Indeedは掲載されているが内容が弱い。
採用ページはあるが会社名でしか辿り着けない。
Instagramは更新しているが
採用にはつながっていない。
見学は受けているがほとんど案内できていない。

ということも起こる。

つまり持っていることと機能していることは違う。

ここを見ないまま、
入口を増やすことだけを考えると、
採用は広がっているようで、
実はあまり前に進まない。

大切なのは、

どこで知ったか。
どこで止まったか。
どこで離脱したか。

を見ていくことだ。

入口整理は数の確認ではなく、
流れの確認でもある。

まずは入口を全部書き出してみる

実務として最初にやることはかなり地味だ。
でもこの地味さが大事だと思う。

まずは紙でもスプレッドシートでもよいので、
今ある入口を全部書き出す。

たとえばこんな見方ができる。

① 求人媒体
何に出しているか。
正社員用か。
パート用か。
応募はどのくらいあるか。

② Indeed
露出はあるか。
クリックや応募はあるか。

③ Google検索
会社名でしか出ないのか。
地域名と旅館求人で拾われるのか。

④ 自社採用ページ
どこから見に来ているか。
採用ページまで辿り着けているか。

⑤ Instagram
採用目的で運用しているのか。
働く人の雰囲気が見えるのか。

⑥ 見学や説明会
誰が案内しているのか。
年に何回あるのか。
応募前相談の受け皿になっているか。

⑦ 紹介
スタッフ紹介はあるのか。
学校や知人からの紹介はあるのか。
毎年継続して動いているのか。

この時点ではきれいに整理しきらなくてよい。
まずは漏れなく出す。
それが最優先だ。

入口ごとの役割を分けてみる

入口を並べたら次に見たいのは、
それぞれの役割だ。

すべての入口が同じ仕事をしているわけではない。

たとえば、
求人媒体は見つけてもらう入口。
Instagramは雰囲気を知ってもらう入口。
採用ページは詳しく理解してもらう入口。
見学は不安を減らす入口。
説明会は応募前の接点をつくる入口。
紹介は安心感のある入口。

というように役割が違う。

ここが分かると改善の考え方も変わる。

たとえばInstagramから直接応募が来ないからといって意味がないとは限らない。
その役割が応募獲得ではなく認知や空気感の共有にあるならそれで十分価値がある。

逆に採用ページは本来、
詳しく知ってもらう場所なのに、
そこにほとんど人が来ていないなら、
ページの中身以前に入口側に課題が
あると考えられる。

入口整理はただ並べるだけではなく、
役割を分けてみることで立体的に見えてくる。

数字と感覚を両方見る

入口を見ていく時は数字と感覚の両方が必要だ。
アクセス数。
応募数。
見学件数。
相談件数。
エントリー率。

こうした数字はもちろん大事だと思う。

ただそれだけでは分からないこともある。

現場ではInstagram経由で話を聞かれることが増えている気がする。
紹介の質がここ数年で変わってきた気がする。
学校との接点はあるが以前ほど採用にはつながっていない気がする。
見学に来た人は反応がよいがその後のフォローが弱い気がする。

こうした感覚は意外と大事だ。

採用は数字だけでは動いていない。
現場の空気や担当者の手応えの中に次の改善の
ヒントが隠れていることも多い。

だから数字だけで判断しない。
感覚だけでも判断しない。
両方を見る。

これが入口整理の精度を上げる。

止まっている場所を見つける

入口を整理する意味は、
最終的にはどこを
直せばよいかを見つけることにある。

求人媒体で見つけてもらえていないのか。
見つけてもらっているが読まれていないのか。
読まれているが相談につながらないのか。
相談はあるが応募までいかないのか。
見学までは来るが最後の決断に届かないのか。

ここが分からないまま採用施策を増やしても
手が散りやすい。

だから入口整理は問題点を探す作業でもある。

どこが止まっているのか。
どこが細いのか。
どこが抜けているのか。

そこが見えてくると
次に何をやるべきかがかなりはっきりする。

棚卸しからまずすべきことへ

まずやることは次の5つ
ここまでの話を実務に戻すと次の5つになる。

① 今ある入口を全部書き出す
まずは思いつく限り漏れなく出す。
小さな接点も含めて整理する。

② 入口ごとの役割を分ける
認知なのか。
興味づけなのか。
詳しく知ってもらう場所なのか。
相談につなげる場所なのか。
役割を分けてみる。

③ 数字と感覚を確認する
アクセスや応募数だけでなく
現場の感触も合わせて見る。

④ 止まっている場所を見つける
どこで離脱しているかを見つける。
そこが改善の優先順位になる。

⑤ 次に増やす入口を決める
やみくもに広げず
今の体制で伸ばせる入口をひとつ決める。

この順番で見るだけでも、
採用はかなり整理しやすくなると思う。

採用サイトの前に入口の全体像を見る

採用の話になると
どうしても採用ページや求人原稿の改善に
意識が向きやすい。
それは間違っていない。
ただその前に見たいことがある。

自分たちの宿は
どこで求職者とつながっているのか。
どこが入口になっているのか。
そしてその入口は本当に機能しているのか。

ここが見えないままだと
採用施策はどうしても部分最適になりやすい。

宿泊業の採用は
応募フォームから逆算するだけでは足りない。
見つけてもらうところから考える必要がある。
その意味で入口を洗い出すことは、
最初の一歩としてとても大事だと思う。

ちょっと長くなったが
第1回はここまでにしたい。

次回はひとつの求人で全員を採ろうとしない。
対象別に入口を分ける。
というテーマでもう一歩具体化していきたい。

※前回の下記全体記事も参考になれば幸いです。

宿泊業の採用は母集団づくりから考える

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