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インバウンド過去最高でも宿泊業が儲からない理由

インバウンド過去最高でも宿泊業が儲からない理由

人吉から大分への出張の帰り道
なんとなく開いた動画が面白かったので
取り上げてみたいと思う。
下記が動画のリンクとなるので興味ある方は
そのままどうぞ。

動画で語られている数字を整理すると、
2025年の訪日外国人客数は約4,270万人
消費額は約9.5兆円。
どちらも過去最高だという。
数字だけ見れば観光業は絶好調に見える。
ただ番組の切り口はそこではなかった。
宿泊業の平均賃金は全産業平均より2割以上低い。過去最高の消費額があっても、
現場に届いていない。それはなぜか?

───

番組では外資系OTAへの手数料流出が
取り上げられていた。
Booking.comやagoda、Expediaを経由すれば12〜15%が海外へ出ていくという議論だった。
ただOTA手数料だけを見ていても、
全体像は掴めない気がする。
この数年で仕入れの値段は上がった。
食材、光熱費、リネン、人件費。
同じサービスを提供するための
コストが増えている。
一方で宿泊料金はどれだけ変動出来たか。
数百円よくて数千円という施設があるのも現実だ。
物価の上昇幅と宿泊料金の上昇幅が、
釣り合っていない。
OTA手数料が高いという話と宿泊料金を
上げられていないという話は実際別の問題だ。

───

宿泊料金を上げればいいという話も単純ではない。
OTAの画面では価格が一覧で並ぶ。
レートパリティの縛りで二重価格にしても、
比較サイトで一覧化される。
価格で差をつけること自体が、
各OTAの仕組み上難しくもなっている。
値上げの判断が宿の意思だけでは
完結しない構造がある。

───

相対的に見るとこうなる。
物価は上がった。
OTA手数料率は変わらないかむしろ上がっている。(厳密に言えば手数料が高いサイトが主力になっている)宿泊料金は上げづらい。
この三つが重なると利益率は下がる。
売上が伸びていても手残りが減る。

インバウンド消費9.5兆円という数字は、
流れ込んだ総量の話だ。
それがどこを通って、
どこに留まりどこへ出ていくか。
その経路を見なければ宿泊業の現場が潤わない
理由は実際のところわからない。
(短い番組で答えが出る内容でもないのは
承知ですが)

───

この構造はいずれにしてもしばらく
変わらないと思う。
OTA手数料は下がらないしむしろ
上がっていくのは間違いない。
比較サイトはAIの発展とともにより
汎用的なものからパーソナライズされた
個人的なものにもっと進化していくことも明快だ。物価は戻らないし外部環境はよりシビアさを増す中で結局は自分の宿が
何を変えられるかを考えるしかない。
OTAの比較画面の外で予約が取れるなら、
価格は自分で決められる。
自社予約を増やすとは手数料を減らす話ではなく、価格決定権を取り戻す話が
本質的な話かもしれない。
そんなことを出張の帰りの道中で考えながら
帰った夜でした。

佐藤弘明
佐藤弘明
常務取締役

旅館支援歴16年|集客・ブランド設計・運営改善まで現場密着伴走|旅館業界のリアルな現場から生まれる気づきや宿の未来を共につくるための視点を日々発信しています。

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